九州運輸局長 年頭の辞

令和7年 年頭の辞
九州運輸局長 原田 修吾

新春を迎え、謹んで御挨拶申し上げます。

 さて、九州運輸局では「運輸と観光で九州の元気を創ります」のキャッチフレーズの下、「持続可能な地域公共交通の実現」、「運輸の安全・安心の確保」、「観光による地域振興」、「人材確保と生産性の向上」という大きく4つの柱の業務を推進しています。この4つの柱に沿って、年頭の抱負を述べさせていただきます。

 まずは、「持続可能な地域公共交通の実現」についてです。コロナ禍の収束に伴い旅客需要は回復しているものの、旅客人員はコロナ禍前まで戻らず、また物価高騰や労働力不足の影響もあり、運航事業者の経営状況は依然厳しい状況が続いております。また、九州には生活航路としての離島航路や、都市圏とを結ぶ長距離フェリーや湾内バイパス航路、観光コンテンツとしての遊覧航路など多様な旅客船が地域を支える社会基盤として日々運航されています。
 九州運輸局といたしましては、地域が築いてきたネットワークを最大限に活かし、自治体や運航事業者の皆様と連携しながら、国庫補助航路の維持・改善に向けた支援やクルーズ船の振興等につきまして、地域活性化に貢献すべく引き続き取り組んでまいります。

 次に、「運輸の安全・安心の確保」についてです。海上交通においては、運航の安全を確保することが大前提であり、事業者への指導・監査を厳格に実施するとともに、令和4年4月に発生した知床遊覧船事故を教訓とする「旅客船の総合的な安全・安心対策」に順次取り組んでいるところです。昨年4月から小型旅客船の船長などに対する「特定操縦免許」、「特定教育訓練」制度が新たに開始され、事業者への周知などその確実な実施に努めてまいりました。本年の施策としては、届出事業の登録制の移行、運航管理者と安全統括管理者の試験制度などが開始されることから、事業者の対応が確実に図られるよう取り組むとともに、無通告監査を積極的に実施するなど、安全・安心対策を着実に推進してまいります。

 次に、「観光による地域振興」についてです。着任して以降、九州各地の豊かな自然・食・文化等、様々な魅力溢れる観光コンテンツを体験いたしました。この素晴しい体験を共有いただけるよう、国内外から多くの観光客に訪れていただきたいと考えています。また、受入環境整備に関する支援とともに、この魅力的な観光資源を活用した取組を、地域の皆様と連携しながら一層強力に推進することで、観光による経済効果が持続可能な形で九州全体に行き渡るよう、しっかりと取り組んでまいります。

 最後に、「人材確保と生産性の向上」についてです。海事産業全体でも人材不足が課題となっています。このため、海事産業全体の認知度を向上させ、理解を促進させるために、教育委員会や学校、地域の関係者と連携して、小・中学生や先生を対象とした海事産業見学会の実施や海洋教育プログラムの活用を進めるとともに、関係行政機関と連携した「めざせ!海技者セミナー」の実施など、海事産業における次世代人材育成に取り組んでまいります。

 昨年は石破総理が就任し、「地方創生」を重要政策の一つとして掲げています。安全で、持続可能な地域交通の実現、そして観光振興は地方創生にとって重要であると考えており、関係者の皆様としっかりと連携を取りながら、職員一丸となって取り組んでまいる所存です。
結びに、九州の発展と皆様方の御健勝と御多幸をお祈りして、新年の御挨拶といたします。

2025年01月01日